我が家は洪水浸水想定区域
台風19号で被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。
我が家は大きな川の比較的近くにあり、ハザードマップによると洪水浸水想定区域にバッチリ入っています(T T)
しかも、家を建てた後に、想定浸水深が深めに見直され、さらに家屋倒壊等氾濫想定区域(洪水の流速や氾濫流の影響で家が壊れる可能性がある地域)にまで指定されてしまいました。
そんな立地から、今回の台風では、はじめて子ども(7歳&0歳)を連れて避難を体験しました。
台風19号で避難を決断するまでの流れ
はじめは暴風と停電に備えていた
台風19号については、数日前からその巨大さが報道されていましたね。
最初は、川の増水はあまり想像していなくて、暴風と停電に備えていました。
暴風対策
- 家の外の物を家の中に入れる
- 自転車はカバーを外して倒しておく
- 養生テープで窓ガラスを補強する
停電対策
- 前日までに乾電池や食料の買い足し
- 当日は早めにお風呂に入っておく
- 風呂水を貯めておく
- 料理を作りおきする
といった具合に準備をして、台風直撃日の午後以降は、何もしなくて済むように備えていました。
鳴りやまない緊急警報アラーム
昼頃から、緊急警報アラームが次々と届くようになりました。
わたしの住む地域でも、土砂災害は警戒レベル4、河川氾濫はレベル3が発令され、避難所の開設がはじまりました。
「これは、河川氾濫もレベル4が出るかも…」
長男は、何回も鳴る警報アラームに不安そう。
いつでも避難できるように準備はしておこうと思いました。
それでも、まだこのときは、「本当に避難必要なのかな…」と思っていました。
家にいても不安が増すだけ…、避難所へ行こう!
強くなる雨と、頻発する警報アラーム(なぜか隣の市のも入ってくる)。
テレビのニュースを観ていても、今までに体験したことのない危機的な雰囲気が伝わってきます。
ふと、台風15号のときのことを思い出しました。
台風の通過は夜中でしたが、風の音で目が覚めて、「大丈夫かな…」と不安だったのを覚えています。
「今回、このまま家で過ごしていたら朝まで不安で仕方がない」
「うちは乳児がいるし、時間が遅くなるほど避難が大変になる」
停電に備えて買い込んでしまった食材を調理しながら、そんなことを考えているうちに、とうとう警戒レベル4が発令。
近所の小学校も避難所として開設されました。
「『あのとき、避難しておけばよかった』と後悔しながら不安な一夜を過ごすことだけは避けたい…!」
家族で話し合って、
「まずは、避難所に行ってみよう」
「いつでも帰れるんだから」ということになりました。
準備のため玄関を開けると、ちょうど向かいのお家のママも顔を出していました。
同じように迷っていて、周囲の様子を伺っていたということでした。
お隣の家は、親族宅に移動してしまったとのこと。
お互い、「やっぱり避難したほうが安心だよね」ということになりました。
台風19号で避難所に持っていったもの
いざ、避難所へ行くとなると、何をどれだけ持っていくかは迷いました。
一晩過ごすだけで済むならそんなに物はいりません。
でも、万が一、浸水して家に帰れなくなったとしたら、数日分の物品が必要です。
結局、足りなくなるといちばん困る、次男(当時11ヵ月)のものだけ多めに持っていくことにしました。
次男(0歳)の物
- オムツ1パック
- 食料(赤ちゃんせんべい)、麦茶
- 着替え
- 毛布
- 遊び道具(絵本、おもちゃ)
長男(小1)の物
- 着替え
- 遊び道具(トランなど)
家族の物
- タオル
- 着替え(少し)
- 食料(夕飯の弁当、パン、おやつなど)
- 飲み物
- レジャーシート
- 非常用持ち出し袋
- 現金、キャッシュカード類
次男は完母で哺乳瓶を嫌がるので、我が家の場合は不要でした。
いわゆる避難グッズや防災用品は非常用持ち出し袋にまとめていました(モバイルバッテリーや携帯ラジオも)。
慌てて準備したため、あまり荷物を取捨選択できず、かなりの荷物量になってしまいました。
結果的に使わなかったものが多いのですが、それは被害がなく翌朝には帰宅できたから。
持ち物については、今後のためにもう少し整理しないとなと思いました。
ちなみに、持って行かなかったけれど必要だったものはスリッパ(上履き)です。
台風19号で避難前に行ったこと
ブレーカーを落とす
停電や浸水に備えて、出発前にブレーカーを落としました。
そうなると気になるのは冷蔵庫の中身ですが…。
前日にたまたま観ていた情報番組で「冷蔵庫は予め『強』にして冷やしておくと、停電しても丸1日くらいは冷気を保てる」というプチ情報を得ていました。
我が家も普段は使わない「強」にしておいたところ、避難所から帰ってきたとき、まだ冷気を保っていて、ひとつも食品を無駄にせずに済みました。
万が一のことを考えると、ブレーカーは落としておかないと危ないです。
でも一方で、何もなく帰宅できたときに、食材が全てダメになるのも惜しいですよね。
だから冷蔵庫「強」にするアイディアはおすすめです。
隣近所への報告(声かけ)
普段から子ども同士が仲良く遊んでいる隣近所の家に、 「自分たちはこれから避難所へ行くよ」ということを伝えました。
これは、そもそも伝える必要があるのか迷ったのですが、2つの理由から伝えることにしました。
ひとつは自分が逆の立場で、いつの間にか近所のみんなが避難していて、自分達だけが残っている状況になったら嫌だな…と思ったからです。
伝えたところ、同じように準備中だったり迷ったりしていたようで、避難された家もありました。
もうひとつは、万が一、自分の家の物が飛ばされて近隣に被害を与えたとき、家にいないことを知っておいてもらったほうが安全かなと思ったからです。
台風19号で避難所までの移動手段
避難先は徒歩数分の小学校でした。
避難の基本は徒歩ですが…、わたしたちは状況判断の結果、車で移動しました。
乳児がいること、荷物が多いこと。
わたしと子ども達を避難所で下ろして、夫だけ車を置くために一旦帰宅し、徒歩で来てもらうことを考えていました。
でも、有難いことにグラウンドが駐車スペースとして開放されていました。
今回は、台風のピークはまだ先で、雨は強まっていたものの風はほとんどなく、すぐに浸水が起こりそうな様子ではなかったから車移動が可能でした。
しかし、台風19号や、その後に続いた豪雨では、車での移動中に被害に遭われた方が大勢いらっしゃいました。
車移動の判断の難しさを感じるとともに「基本は徒歩」「徒歩で移動できるくらい早い段階での避難」ということを忘れてはいけないと思いました。
台風19号のときの避難所の様子
避難者は多種多様だった
わたしたちが到着したのは、台風当日の午後3時頃。
まだ、避難所は開設されたばかりで、少しずつ避難者が到着しはじめた頃でした。
でも、人はどんどん増えていって、最終的には二百数十名になったそうです。
高齢のご夫婦、ファミリー、一人暮らしと思われる方…。
本当にいろいろな方が集まっていて、今回の台風に対する世の中の危機感がいかに大きいかを感じました。
子ども達の過ごし方は?
避難するにあたり、いちばん心配していたのは、娯楽がない避難所で、子どもたちが静かに過ごせるかどうか…。
上の子は退屈して帰りたがらないだろうか…。
下の子は慣れない環境で泣いたりぐずったりしないだろうか…。
しかし、それについては全く心配無用でした。
長男は、同じように避難に来ていた友達と遊べて、むしろ楽しそうでした。
仲良しの友達と一緒に寝れると知って、まるで合宿気分。
避難が子ども達にとって辛い経験になると嫌だなと思っていたので、親としてはホッとしました。
かたや次男も、広い校内を嬉しそうにハイハイしていました。
持参したおもちゃではほとんど遊ぶことなく、はじめての場所を興味深そうに眺めていました。
何より助かったのが、授乳・オムツ替えの部屋まで用意してもらえたこと。
これは、部屋数がある学校だから出来たことかもしれません。
避難所は、老若男女いろいろな方が集まる場所なので、夜中に泣いたときにも利用できてとても助かりました。
台風19号で避難してよかったこと
被害がなく帰宅できたから言えることもありますが、はじめて避難所に行ってみて、よかったことがたくさんありました。
不安が和らいだ
避難したけど被害がなかったときに、「空振りだった」と表現しているのを見たことがあります。
でも、本来は避難に空振りも何もないですよね。
避難は被害が起きる前にするもの。
空振りはいちばん有難いことです。
そして、空振りであっても、避難所にいる安心感はとても大きかったです。
わたしの住む地域の川は、今回、ダムの緊急放流をしています。
もし家にいたら、「川が溢れたらどうしよう」「決壊したらどうしよう」と気が気ではなかったと思います。
避難所にいることで、「たとえ家に被害があっても家族の安全は守れる」と安心して過ごすことができました。
正確な情報が早く入ってくる
わたしたちはスマートフォンから最新情報を得ていましたが、避難所ではそれよりも早く行政からの情報が直接入ってきました。
たとえば今回、ダムの放流時間が発表時刻より早まるという事態が発生しましたが、それについても先に情報を知ることができました。
また、避難所に居るとはいえ、情報から隔離された状態は不安なものですが、教室のひとつでテレビを観ることが出来るようになっていました。
避難所開設の担当者はごく少人数ですが、そんなことまで配慮されていて頭が下がる思いでした。
自分達だけで判断しなくて済む
災害から身を守ろうとするとき、情報は得られても、「では、どう行動するのがよいのか?」それを判断するのがいちばん難しいです。
その点、避難所では指示を受けながら過ごすことができます。
はじめは体育館に避難していたのですが、浸水の可能性があることから、校舎の2階以上に移動しました。
また、洪水の危険は夜中のうちにおさまったようで、まだ避難解除は発表されていなかったけど、「もう帰宅されても大丈夫ですよ」ということを教えてくださいました。
わたし達個人では、避難解除が発表されるまでは、いまがどんな状況なのか知りようがありません。
最新の情報に合わせて、どうするのがベストかを判断できる方がいるのは、とても心強かったです。
家族の防災意識が高まった
今回、実際に体験するまでは、避難はどこか他人事でした。
荷物をまとめるのも面倒だし、移動も大変だし。
それに、「避難したのに何もなかったら、なんか無駄なことした?」みたいな変な考えまでありました。
でも、やっぱりそれは間違いで、避難は何もないうちにするのが鉄則です。
そんな当たり前のことを、今回は夫と子ども達と一緒に体験をもって確認できたような気がします。
災害が多い昨今、防災意識を高めることが大切であることはわかっているけど、避難訓練に参加しても、あまり実感が伴わないところがありました。
でも、本当に避難をしてみたことで、危険な時にあらかじめ避難することが、恥ずかしいことでも負けでもない、とても当たり前の行動なんだと理解できた気がします。
避難に対するハードルが下がった
上記に関連しますが、もともと避難に対して腰の重い自分がいましたが、一度体験したことで、気持ちの面で避難に対して身軽になれた取れた気がします。
また、避難は直前になればなるほど焦ります。
我が家のように、浸水想定区域に住んでいて、小さな子どもがいて、いざというときに動くのに時間がかかると分かっているなら、早めに行動することで、しっかりと準備ができる。場合によっては車での移動も可能であることが分かりました。
警戒レベル3のうちに準備を済ませて、レベル4が発令される前に移動するくらいが安心かもしれません。
台風19号で避難してわかったこと
一方、避難をしてはじめて分かったこともあります。
はじめから何でも支給されるわけではない
テレビに映る避難所のイメージから、たとえばブルーシートや食料、水などは避難所にはじめからあって支給されるものと勝手に思っていました。
でも、災害が起こる前の事前避難の段階では、何でもすぐに使えるわけではないということを知りました。
地域によって、その時の状況によって大きく変わってくると思いますが、今回、わたしたちの避難所で支給されたものは、次の3つでした。
- パンの缶詰
- ペットボトルのお茶(数量限定)
- 毛布(数量限定)
パンの缶詰めは避難所に着いて間もなく配布されました。
夜になって、ペットボトルのお茶と毛布が限定数支給されましたが、避難者の方が多かったので、「譲り合って使ってください」ということでした。
でも自分で用意されている方も多いので、混乱が起きたりはしていません。むしろ譲り合って余っていました。
当然といえば当然のことですが、事前避難に必要なものは、自分達で用意したほうが安心です。
それでも、市役所の方が「困っていることはないですか?」とわざわざ声をかけてくれ、避難者からリクエストされた物品は、暴風雨の通過を待って届くように手配がなされていたようです。
雨風のなか徒歩で避難となったら持参できるものには限りがあるので、それはありがたいことです。
いずれにしても、平時のうちに、持ち物を整理しておくことの大切さを感じました。
いざというときの避難。わが家の今後の課題
平日や夜中の場合はどうしよう?
今回は土曜日で、家族4人が家に居たからまとまって行動ができました。
でも、これが平日だったら?
夜中だったら?
今回以上に早めの判断と早めの移動が必要だと思いました。
どこに避難するのがベストか?
今回避難した小学校は、仮に洪水が起こったとしたら浸水する場所にあります。
命は助かっても、孤立する可能性があります。
少し離れた高台にある避難所に向かうという方法もあります。
市外の知人の家に身を寄せるという選択肢も。
実家は遠方ですが、場合によっては有りかもしれません。
こう考えてみると、避難先が遠方であるほど交通手段が必要で、早期避難求められることに。
どれかひとつに決めるというより、「今回はどうするのが安全か?」を毎回考える必要があるのだと思いました。
まとめ:避難してみないと、防災意識は高まらない
昨今の豪雨や巨大台風は、異常気象ではなく、もはや気候変動なのだと言われます。
家庭でも、いざというときの避難計画を立てておくことを求められていますが、正直、何をどこまで話し合えばよいのか、ピンときていませんでした。
でも、今回、はじめて避難を経験したことで、我が家に必要な備えが何か、どう行動するのがよいか、少し明確になったと思いました。
これは、避難訓練では見えてこないものでした。
避難が必要な事態が起こらないことを願いつつ、必要なときに躊躇せずに行動できるようにしたいです。
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